2017/10

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 ♪来たぞ我らのウルトラマン−−。身長40メートルの正義の味方が茶の間にやって来たのは1966年、間もなく半世紀を迎える。高度経済成長やオイルショックなど日本の世相とともに歩んだ特撮ドラマは、私たちに何を伝えようとしたのか。【庄司哲也】  「ウルトラシリーズは、大人たちが子供になって作っていたんです。円谷英二監督、長男の円谷一さん、脚本を担当していた金城(きんじょう)哲夫さんら皆さん、本当にきれいな目をしていましたね」。第1作「ウルトラQ」でヒロインの江戸川由利子、続く「ウルトラマン」で科学特捜隊の紅一点、フジ・アキコ隊員を演じた桜井浩子さんが振り返る。今も円谷プロダクション・コーディネーターとしてイベントに参加する。  66年1月2日に放送が始まった「ウルトラQ」は当初、「アンバランス」というタイトルで放映を予定していた。バランスの崩れた世界を描き出すSFドラマで、撮影開始は64年。東京五輪の直前だった。タイトルを「ウルトラQ」に変更したのは、東京五輪の体操競技の影響だ。撮影現場ではスタッフも役者も手探り状態。桜井さんによると「怪獣が現れる場面だから驚いて」と指示されても、特撮なので怪獣はそこにはおらず、どう演技していいのか皆目分からなかったという。  記憶に強く残っているのは続く「ウルトラマン」撮影時の一さんの言葉だ。撮影が定時に終わらず、ご機嫌斜めの桜井さんをなだめようとして「そんな顔しないでよ。30年後にはスターだよ。ウルトラマンも怪獣もロコちゃん(桜井さんの愛称)も」。近くで英二監督が「うん、うん」とうなずいた。  「当時は『この親子、何なの?』なんて思いながら聞いていました。でも、実際にそうなっちゃった。30年後の遠くを見つめていたなんて、本当にけうな才能が集まっていたと思います。英二監督は、私にとっては福島弁で話すただのおやじなんですけどね」  そんな「けうな才能」の一人に、後にドラマ「3年B組金八先生」などを手掛けた脚本家の小山内美江子さんがいた。金城さんらメインとなる脚本家らとともに、「ウルトラQ」では現実に疲弊した人々を理想郷に運ぶ異次元列車を描いた「あけてくれ!」の脚本を担当。「帰ってきたウルトラマン」では、人間を怠け者にする「放射能」をまき散らす怪獣ヤメタランスを登場させた。怪獣を操る宇宙怪人ササヒラーは小山内さんの本名「笹平」をもじった。怪獣の「放射能」の影響で登場する地球防衛組織の隊員も怠け者になってしまい怪獣を倒すことをやめてしまう。ウルトラマンにしてはコミカルな内容だ。  小山内さんによると、「帰ってきた」の脚本を依頼に来た番組プロデューサーはウルトラマンの関連商品をいくつも抱えていた。それらを喜んだ当時、小学生の長男(俳優・映画監督の利重剛さん)に「書いて」とせがまれ、断りきれなくなったという。「もしも皆が怠け者になったら、日本はどうなっちゃうのという疑問を怪獣に託したんです。スタッフの間では『一番どうしようもない回かもしれないけど、こういうのもいいよね』なんて言われました」  地球の平和を守り、毎回登場する怪獣を倒す「正義の味方」、ウルトラマンの活躍は子供たちをワクワクさせた。子供の頃にヒーローになりきって遊ぶ「ウルトラマンごっこ」をした覚えがある人も多いはず。ウルトラマンから子どもたちは正義を学んだのだろうか。  北海道の公立中学校の教諭で「ウルトラマンと『正義』の話をしよう」(朝日新聞出版)などの著書もある神谷和宏さんは「シリーズで掲げられている『正義』は絶対的なものではなく、常に揺れ続けていました。そんな、ふらふらとした『正義』はシリーズ全体にちりばめられていたのです」と指摘する。  例えば「帰ってきたウルトラマン」の中の「怪獣使いと少年」は、人間の差別と迫害を描き出した作品だ。身寄りのない少年と心優しいメイツ星人が暮らしていた。やがて、少年は民衆から「宇宙人」と疑われ、暴徒化した民衆から少年を守ろうとしたメイツ星人は殺害されてしまう。メイツ星人の怒りが乗り移ったかのような怪獣を、事情を知っているウルトラマンはためらいながら倒さなければならなかった。この話は「正義」がどこにあったのかがわからなくなってしまう。さらに有名なバルタン星人が登場する話では、ウルトラマンや科学特捜隊の隊員たちが共存のために対話を試みようとする。バルタン星人も一方的な悪として描かなかった。怪獣や宇宙人にも存在する事情が示されていた。  神谷さんは担当する国語の授業でウルトラマンを教材に使い、授業を行ってきた。生徒たちに異なる角度から物を見てもらいたいという考えからだ。そして、次のような思いを抱いている。「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、特定の国を敵とみなし、その意見に同調しない人も同様に『売国奴』と呼び、自分が掲げる正義を絶対視し、異なる意見の持ち主を悪や敵と見なしてののしる声があふれています。そんな今だからこそウルトラシリーズで示された、決して絶対的ではない『正義』を改めて振り返るべきではないでしょうか」  絶対的な正義への懐疑は50年たった今も、テレビ東京系で放映中の最新作「ウルトラマンX」に引き継がれている。最新作のテーマの一つに人と怪獣との共存がある。ヒーローとともに怪獣と戦う地球防衛チームの隊長が「怪獣、異星人にも彼らなりの事情がある。こちらが正義、向こうが悪と言い切れるのでしょうか」と話すシーンがある。  「X」のメイン監督を務める田口清隆さんは今作について「一方的に怪獣を倒す正義には、今の子供たちもきっと疑問を持つはずです。こうした設定は初期のウルトラマンの王道でもありました。現実の世界に目を向けても負の連鎖ともいえる争いが起きており、『相手を理解していこう』というテーマもありなんじゃないかなと思っているんです」と、話す。  胸に秘めた思いも打ち明けてくれた。「『たとえ友達とけんかしても、相手の事情も考えよう』。番組を見た子供たちにそんな印象が残ってくれれば……」  幼い頃、訳も分からず、ただ「かっこいい」と思っていた、ブラウン管のウルトラマン、実は深い正義を伝えていたのかもしれない。 「雪を載せた車を見た。当たり前の冬ですがさぶい日です。日常」 @ウルトラマン http://mainichi.jp/m/?3fzyYs peace please !!! 裕(1秒前)